ちょっと知りたい、印刷のこと

印刷用語集

 印刷屋さんでなければ分からないような特殊な言葉は省いていますが、印刷業界とは縁のない人にも関係あるような印刷用語を集めてみました。

■校正
 印刷する前に必要な作業で、文字やデザインなど、内容に誤りがないか確認することです。ただ、どちらかといえば文字・脱字のチェックの意味が強く、校正ではなく色校正といえば、色味やデザインの確認という意味が大きくなります。

■簡易校正
 色校正は、実際に少数の印刷を行って色の確認を行います。ですが簡易校正はレーザープリンターなどで出力したものでイメージや色を確認する方法です。通常は簡易校正後に色校正を行いますが、さほど色味にこだわらない印刷物や、色校正のコストを抑える目的で簡易校正のみで終わらせる事もあります。

■折丁
 通常、印刷は4ページや16ページなど、複数のページを一枚の紙に印刷します。折丁とは一枚の紙に印刷された複数ページを折りたたんで、実際のページ数の順番に並べる事を指します。

■刷版
 実際に印刷する際の、版の事を指します。主にオフセット印刷で使う、インクを直接付ける版の事です。この場合刷版はPS版と銀塩式ダイレクト版の2種類が主流で、コスト的には銀塩式ダイレクト版が安上がり、PS版は大量印刷にも耐えられ、かつ品質も上です。

■判型
 通常は、本の縦と横のサイズを表すものです。一般的な紙のサイズは、コピー用紙として最も流通しているのがA4判と呼ばれるサイズです。この倍の大きさの紙はA3判、さらに倍ならA2判、さらに倍でA1判というサイズになります。逆にA5版は、A4判の半分のサイズで、小さめの教科書などで使われているサイズです。数字が大きければ大きいほど、小さいサイズということになります。また、菊判や四六判と呼ばれる規格外サイズの本、正方形に近いような変形判などの本も数多く流通しています。

■線数
 新聞など、写真などが印刷されたところを良く見てみると、大小の点がグラデーションなど、濃淡を表現していることが分かります。この網点の細かさを表す単位が線数です。もう少し詳しく言えば、1インチ(25.4mm)に網点が何個入るかということです。

■乱丁・落丁
 乱丁とは、ページの順番が入れ替わっている印刷物のことです。広い意味では、インクがかすれて印刷がはっきりしないページや曲がってしまったページがあるなどの印刷ミスも乱丁に含む場合もあります。また落丁はページそのものがかけている印刷物のことです。
 
■ISBNコード・日本図書コード・書籍JANコード
 国際標準図書番号であるISBNコードは、本のカバー裏に印刷されたISBNではじまる13桁(昔は10桁)のコードのことです。ISBN 4、ISBN 978-4で始まる本は、日本での出版物に付けられる番号で、4が日本に割り振られた数字です。それに出版社ごとに取得した出版社コードを含む、世界でその本ひとつだけの番号が割り振られて出版されます。日本図書コードは、このISBNコードに分類コード・価格コードを加えた規格です。そして書籍JANコーは、二段組で表現された本のバーコードです。上段がISBNコード、下段が分類コードと価格コード、つまり日本図書コードをバーコード化したものが書籍JANコードということになります。この書籍JANコードは、コンビニのレジなどで使われているPOSレジシステムで読み込むために作り出されました。

■ノンブル
 小説や漫画など、ページの順番で読まないと意味が分からなくなってしまう本はたくさんあります。ノンブルというのは、このページ数を表現するための数字のことです。装丁の一部として重視される事もありますが、どちらかといえば、本を読む人のためのものではなく、編集や印刷の際にページの順番が分からなくならないように貼り付ける数字です。漫画などの、特定の位置にノンブルを付けることが出来ない本でも、見えないところに必ずこのノンブルが付けられていて、面付け作業や乱丁チェックなどの際に確認しやすくなっています。

■面付け
 通常、本などは複数のページを一枚の紙に印刷します。例えば二つ折りを縦横縦と交互に3回折れば、8分割され、両面印刷されれば16ページ分になります。そして背表紙とナル部分を除いた折り目の部分を切り落とし、紙一枚で1ページから16ページまでが順番に並ぶように配置する作業が面付けです。

■トンボ(トリムマーク)
 トンボとは、昔風にいえば「見当」です。見当違いや、見当はずれといった言葉に使われる、見込みや予想、方向といった意味で使われる見当という言葉は、このトンボの意味で使われていた「見当」がその語源になっています。
江戸時代にはすでに、多色刷りの印刷物が、版ずれしないように目印を付けておくという技術がありました。

■PP貼り
 文庫本やコミックスは、カバーを丈夫にするため、そして色が鮮やかに見えるように、コーディングを行うことです。PPはポリプロピレンの略で、ポリプロピレンで作られたフィルムをカバーなどに貼り付けるものです。通常はツヤのある、光を反射しやすいものが使われますが、逆にツヤを消したあまり光らないPPを張る、マットPP貼りの本も最近は増えてきました。好みにもよりますが、ツヤ感がないマットPP貼りのほうが上品な印象になる人が多いようです。

■アウトラインフォント
 文字の形、つまりは輪郭情報を持った文字のことです。アルファベットの「I」をアウトラインフォントで表現すると、最も単純な形は長方形で表現できますが、これは4つの点を直線で結ぶという情報で作られています。アウトラインの抽出が許されているフォントと、この情報を加工できるソフトがあれば、拡大・縮小による劣化なしに直線を曲線に変えたり、カーブのラインを変更したりといった加工が容易に出来ます。

■連量
 紙の重さを表すものですが、一般的には紙の厚みを確認するための目安にされます。この連量は特定のサイズに仕上げられた紙1,000枚が何㎏あるのかを表しています。紙の厚みを表示せずに、重さで表現するのは、紙の密度や繊維の質で、同じ重さのものでも厚みが変わってしまうためです。紙を買って利用する場合はさほど影響ありませんが、その紙を流通レートに載せる場合は重さで表現したほうが運びやすいという事情も関係しています。ただ、例えばコピー用紙など、さほどどのメーカーのものも大差のない品質の商品であれば、重ければ重いものほど厚みがある紙であるのは間違いありません。

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